「僕らの業界やったらそんなんありえへんよ!」とは何か? ──ひとつの教育学的考察

中川家 携帯電話屋 - YouTube

 

 私は中川家のコントの中でも、上の「携帯電話屋」が大好きで、時々気が向いたときにみている。

 このコントは兄がケータイショップ店員で、弟が客という設定である。

 2分すぎた辺りで、客が店員さんの不手際についてぶちっとキレるシーンがある。これが大変印象的で、特にそこで発せられた台詞が「面白」い。

 

「僕らの業界やったらそんなんありえへんよ!」

 

 これである。

 この台詞を聞いたとき、私は大爆笑をしたのだが、同時になんだか妙に「ぴん」とくるものがあった。

 この台詞には、一体どういう思いがこもっているのだろうか。

「僕らの業界やったらそんなんありえへんよ!」という台詞は、ここで中川家が初めてクリエイトした台詞ではない。昔からある罵倒台詞(?)だ。

 言い換えると、対面商売において、迷惑な客に引っかかった場合にしばしば(というほどでもないかもしれないが)言われてしまう台詞というか、ひとつの決まり文句的なものである。

「僕らの業界やったらそんなんありえへんよ!」というのは、「僕らの業界ではそんなことはありえない」という事実提示の意味も当然あるが、それとは別の意味が、おそらく遥かに強い。

 つまり、「僕らの業界やったらそんなんありえへんよ!」には、「おたくの業界(会社)の振る舞いは、一般常識的に考えておかしいよ。はっきりいって信用できないよ、申し訳ないけれど。」という意味合いがいちばん強いのではないかと思われる。

 もう少し掘り下げると、「おたくの業界(会社)と取引したくない気持ちが今強いよ」というイエロー・カードというか、最後通告にも似た意味合いが大いにあると思われる。

 ただ、別な視点から言うと、これはお客からの叱咤激励にもとれる。

 つまり、「おたくの業界(会社)のその振る舞いはやばい(ダメ)だから、社員教育しっかりし直した方がいいよ。」という意味合いだ。

 言い換えると、「おたくの患部はココだよ」と、「お金を払ってくれる」お客様*1から教えて頂けているとも解釈できる。

 

 まとめると、「僕らの業界やったらそんなんありえへんよ!」という台詞には、「おたくは正直信用できないな、という思いが強いよ」という、クールでリアルなビジネスマインド要素がある一方で、「おたくはここがダメだからね、しっかり直せよ」というウォーム・ハートな、親心的な、教育的要素があると考えた。

 

*1:ここで敢えて「お金を払ってくれる」と強調したのは、教育とは一般的にお金を払って受けるものであるが、ここではその「教育」が、お客様からお金を頂戴して受けることができる、という点について、学校や塾とは全く異なる「教育」が会社、社会にあるという点を筆者(アルテマ)は重要視したため、強調した。