私には、是非とも、 戦いとらなければならないものがあった。 新しい倫理。 いいえ、そう言っても偽善めく。 恋。 それだけだ
うーん。
これは。
グッとくる。
「、」と「。」を多用することで、一語一語噛み締めて言葉が発せられている感があり、そこにズシっとくる重さが感じられる。
そしてなんといっても。
「いいえ、そう言っても偽善めく。」
この一文、たまらない。
ここに太宰の留保、ためらい、つまりは息づかいのようなものが感じられる。
文章を読んでいるのに、目の前で太宰が自分に語りかけてくるような文体なのだ。
こんな文体………
ズルイよ。